3.駆動方法
第一関節の根元にあるモーターからの回転動力は、根元側スプロケット(現在はプーリー)、チェーン(タイミングベルト)、先端側スプロケット(現在はプーリー)を介し、差動歯車機構の太陽歯車へ伝わります。太陽歯車の回転は、遊星歯車、内歯車へと伝わり、再び後続するリンクの根元側スプロケット(現在はプーリー)に動力を伝えます。
遊星歯車のキャリアとリンクは一体形状で、リンクの外側には、太陽歯車軸を中心とした歯車の歯溝形状をしています。この歯溝形状と噛み合う恰好で、クラッチに繋がれた、歯車と噛み合います(クラッチ機構)。
クラッチ機構は、回転動力を後続のリンクへ伝えるかOn,Offを切り替えるために用いられます。Onをクラッチ解放とし、Offをクラッチの拘束とすると、回転させたい関節のリンクのクラッチをOnにし、それ以外のクラッチをoffにすると、Onにしたクラッチ以降のリンクに回転動力を伝えることが出来なくなり、遊星キャリア(リンク)を回転させることになります。この仕組みによって、指定した関節を回転させることが出来ます。
強み:
1)重量物のモーターを根元(ロボット支持台)にのみ搭載するため、リンク全体がかるくなり、根元側のリンクや、シャフトの曲げ応力を小さくすることが出来る。
2)クラッチの拘束力/重量 vs モーターのトルク/重量では、クラッチの方が、値が大きい。同等のモーターで駆動した場合よりも軽くて、高トルクを伝達できる。また、クラッチは、Onの時だけ電力を消費し、また、Onを維持するためには電力はほとんどかからない。
弱み:
1)1関節毎動かすため、駆動が遅い。先端に行くほど減速されているため、多関節になるほど、先端の駆動が遅くなる。
2)摩擦損失は、先端に行くほど蓄積されるため、モーターの仕様上の最大リンク数がある。
詳細:多軸マニピュレータ 特開2017-177233
https://www7.j-platpat.inpit.go.jp/tjk/tokujitsu/tjkt/TJKT_GM301_Detailed.action